ウィズコロナの時代、暮らしは大きく変わりましたね。手洗い・消毒・マスクの徹底や3密の回避のほか、外出自粛やリモートワークなどにより自宅で過ごす時間が増えたりなど、住まいの大切さを改めて感じた方も多いと思います。
生活様式の変化によって、家づくりでも大切にしたいポイントが変化しました。これらのポイントを取り入れると、より安心して快適に過ごせるお家になるのではないかと思います。
ここでは、コロナに対応したお家として「アジアンモダンな家」(2021年竣工・埼玉県熊谷市)を例として紹介します。

上着・帽子・カバン・宅配物などが収納できる『大きめの玄関収納スペース』を作る

外でウイルスが付着しやすい上着・帽子・カバンなどを収納できるスペースを玄関脇に作れば、ウイルスをリビングや寝室に持ち込む可能性を下げることができます。花粉対策としてもよいですし、「ステイホーム」で増えた宅配物や生協などの食品宅配サービスのボックス、ベビーカーや外あそび道具の収納場所としても使えます。
設計事務所に依頼される注文住宅では、お客さまのご希望や必要性に応じて、収納スペースや棚などの位置・形状・サイズ・素材等を自由に設定して、オリジナルのものが作れるところが強みです。

玄関左手の収納スペースには、上部にハンガーラックを付けて上着などを掛けられるようにし、その下部にはカバンや宅配サービスのボックスを置けるスペースを作りました。(扉を閉めて目隠しができるようになっています。)右手の靴箱の間には棚を作り、小物を置いたり飾り棚として使えるようにしました。
玄関右手にもハンガーレールを付け、帽子やマスクや鍵などのちょっとしたものを掛けられるようにしました。

 玄関の近くに『洗面所・バスルーム』を配置する

帰宅後すぐに手洗い・うがいをすることは大事ですね。また、服を着替える、シャワー・お風呂に入る、ということができれば、ウイルスをお家に持ち込む可能性をさらに下げることができると思います。
そのために、玄関からリビングを通らずにアクセスできる場所に洗面所・バスルームを配置したり、玄関脇に小さな洗面台を作ることもできます。

 手を触れないで使える『センサー式の照明・自動水栓』にする

玄関や洗面所の照明をセンサー式のものにすればスイッチに手を触れずに電気を点けることができ、洗面所やキッチンの水道を自動水栓にすれば蛇口に手を触れずに水を出すことができます。せっかく手を洗っても、洗う前に汚れた手で触った蛇口やスイッチをまた触ることになるということがなくなり、触れた箇所を毎回消毒する必要もなくなります。(なお、手動スイッチ/手動水栓にも切り替えられます。)
センサー式の照明は、両手に物を持っている時でもスイッチをオン/オフできるので、荷物が多い時や夜間などにも役立ちます。

玄関→廊下→洗面所までの照明をセンサー式にし、洗面所の水道を自動水栓にしてスイッチに手を触れずに照明を点けて手を洗えるよう設計しました。

 家中に新鮮な空気が流れるように『換気』を設計

コロナに限らず、風邪などの感染症は密閉空間で起きやすく、またアレルギーやシックハウス症候群の対策として換気はとても大事です。
窓や吸気口があれば十分に換気ができるとは限りません。空気を取り込む入り口と空気を排出する出口が大切です。窓や給気口が一つしかない場合は新鮮な空気が入ってこなかったり、窓同志が近い場合や同じ面に位置している場合は室内の空気が滞留しがちです。
窓や給気口の位置や場所を工夫して設計することで、換気設備が無くても自然風だけで家中に新鮮な空気が流れるよう換気をすることができます。

 リモートワークやオンライン学習が快適にできる『ワークスペース』を設ける

コロナ禍で困ったことの一つは、仕事をするワークスペースではないでしょうか。夫婦共にリモートワークでワークスペースが足りない、リビングやダイニングで仕事をしているが生活音や声が聞こえて集中できない、オンライン会議中に家族や子供の声が入ってしまう、カメラに写る背景が散らかっている・プライベート空間なので恥ずかしい、などなど。。。落ち着いて仕事に集中できる場所が自宅に欲しいというニーズが今増えています。

防音性やプライベート性で一番いいのは、独立したワークスペース・書斎を作ることだと思いますが、面積の関係で独立したワークスペースを作るのが難しいことも多いと思います。
その場合は、寝室内やリビング・ダイニングに小さなワークスペースを設けることを想定して、デスクや背景の向きを工夫してスペースを設計したり、リビングとダイニングの間に間仕切りを設けてワークスペースを作ったり、廊下や階段下に簡易的なワークスペースを作るという方法などがあります。

コロナが発生する前から働き方改革の一環として推奨されてきたリモートワークは、コロナが終息した後もニューノーマルとして定着すると言われていますので、自宅にワークスペースを設けておくことは無駄にはならないと思います。また、コロナをきっかけに学校や塾の授業、そしてイベントやセミナーのオンライン化が一気に加速したので、ワークスペースはお子さまのオンライン学習スペースや趣味の部屋などとしても使うことができると思います。

6畳ほどの寝室内に設けた小さなワークスペースです。背面が何もない壁になるよう設計しており、オンライン会議で背景が写っても心配ありません。
間仕切りを開けた状態
間仕切りを閉めた状態

リビングとダイニングの間に可動式の間仕切りを設けて、プライベート性のあるワークスペースができるように設計しました。間仕切りを開けると、リビングとダイニングが一体化して開放的な空間になります。

 省エネのために『断熱性』を高める

リモートワークやリモート学習が増えた今、気になるのはお家の冷房・暖房代ではないでしょうか。
窓ガラスを二重サッシにする、壁や床に断熱材を入れるなどの断熱性を高める工夫をすると、冷房・暖房の使用量が削減でき、『夏涼しく冬暖かい』環境になります。二重サッシや断熱材の費用はかかりますが、月々の電気代を削減できるので長い目で見れば経済的です。
また、近年は地球温暖化や異常気象などへの対策として、環境に配慮した省エネ住宅が政府によって推進されており、断熱性を高めた省エネ住宅はオサイフにも地球にも優しいお家になります。

 リラックスしてくつろげる『心地よい空間』

コロナでおうち時間が増えた今、家は帰って寝るだけの場所ではなく、仕事をしたり勉強をしたり趣味や遊びの時間を過ごしたりと、一日のほとんどを過ごす場所になり、住まいの大切さを改めて感じた方も多いのではないでしょうか。
特に家族が集うリビングやダイニングは、気持ちをオフに切り替えて、リラックスして心地よくくつろげる雰囲気の空間にしたいですね。

リラックスできる雰囲気の空間を作るには、例えば、大きな窓を付けて自然光や外の気持ちよさを取り入れられる空間にする、なるべく空間を仕切らず開放的な空間にする、庭の木々やベランダからの風景が見えるように窓や部屋を設計する、落ち着いた色合い・素材の内装にする、間接照明を取り入れて柔らかい光を演出する、などの工夫があります。

ベランダ窓を大きく取り、外の景色や光を存分に取り込める明るい空間にしました。(窓は二重サッシにして断熱性を確保しました)

リビング、ダイニング、キッチンを仕切らずに一つの空間として、開放的で広々としてくつろげる空間にしました。(リビングとダイニングの間には可動式の間仕切りを設置し、必要に応じて仕切れるようにしました。)
落ち着いた色合いの木材を床や壁に使用し、リラックスした雰囲気にしました。
間接照明を取り入れて、柔らかくリラックスできる光を演出しました。